キャラ変⁉️モヤッとドラマ④
良く行くコンビニのおじちゃん、おばちゃんと仲良くなる事って結構あります。
人とのコミュニケーションってふだんは楽しいものですが、仕事で疲れた帰りなんかはそれがちょっと煩わしくて、わざわざ離れたコンビニに行く事もあります。
コミュニケーションって楽しい反面疲れる部分もあるんですね。
僕は人との関係性の中で「距離感」がかなり大事だと思ってます。
同じ様な距離感でもお互いに少しずつ詰めていって、ちょっと離れて、また詰めて行って。。
と丁寧に築けた関係は特に大切にしたいですね。
はい、そんなわけで(どんなわけだ?)モヤッとドラマです。
パートの渡辺さんがコンビニ店員の山崎さんを批判し続けた1件以来、何となくそのコンビニに行きにくくなって、南野は近くの焼き立てパン屋のパンを昼食にしていた。
そこのパン屋は割と評判の店。最初ハッとするほど美味しかった。
しかし美味しいパンではあるけれど、そこは日本人。
パンだけの昼食に物足りなさを感じるまでに3日もかからなかった。
パートの渡辺さんはあれ以来弁当を作ってるみたいなので、今日は久しぶりにいつものコンビニへ1人で向かった。
店に入るといつものようにチャキチャキ小太り山崎さんと丁寧上品の藤田さんがレジを任されていた。
南野は今日はご飯ものが食べたい気持ちが強いので、いつもの焼肉弁当を手にして藤田さんが担当するレジの列に並んだ。
藤田さんの応対って何が良いんだろう?
特に親しげに話しかけてくるわけでも無いのに、キチンとコミュニケーションできた心地よい感じ。
へり下る感じが一切無いのに客に不快感を与えない凛とした感じは一朝一夕では身につかないだろう。
南野はいずれ自分も仕事でお客さんにこういう応対が出来るようになろうと、今日もいつもの応対を求めて会計のため藤田に弁当を渡した。
藤田「はい、いらっしゃい」
南野「。。。あ、お弁当、温めでお願いします、あと袋もお願いします」
いつもの藤田なら良いタイミングで「お弁当温めますか?」と訊いてくれるのだが、なかなか訊いてくれないので南野からお弁当の温めとレジ袋を頼んだ。
藤田「はい、お会計は660円。お弁当ちょっとまってね」
ん?いつもの藤田さんらしくないくだけた口調。
だけど表情がこわばっているため少し怖い。
何かこちらが悪い事をしてしまったか不安になる。
電子レンジのピーという音がして、藤田さんは焼き肉弁当をレジ袋に入れて手渡してくれた。
藤田「はい、お待たせ。どうもー」
明らかにいつもと違う藤田さんの話し方に南野は戸惑った。
藤田さんの口調は特に険があるわけではないのだが、表情はこわばっているため何かすごく不安になる。
南野「あ、どうも」
南野は弁当を受け取りそそくさと店を後にした。
店を出て振り返って藤田さんを見ると一瞬目が合った。
藤田さんは怒ったような心配してるような複雑な表情をしていた。
藤田さんはどうしたんだろう?
ただの不機嫌?
でもこのコンビニに通い始めてからの藤田さんとは明らかに違って見えた。
会社までの帰り道ぼーっと考えながら歩いてたら不意に思い付いた!
「キャラ変⁉️」
藤田さんがいつも一緒に働いてる山崎さんは誰にでも気さくに、悪く言えば馴れ馴れしい話しかけてくる。
だからお客さんと仲良さそうに話してる事も多い。
一方藤田さんはお客さんとおしゃべりする事は無いが、南野のようにその仕事ぶりを気持ちよく思ってる人は多いと思う。
もしかしたら藤田さんは山崎さんの気さくキャラに寄せようとしてるのではないか?
そう思うと慣れない対応をしてこわばった表情になるのも理解出来る。